VeChain(ヴェチェーン)


VeChainは、分散型ビジネスエコシステムを提供するBaaS(Backend as a Service)企業です。


■目次

  • 1.VeChain概要
  • 2.VeChainトークン(VET)とThor Power(THOR)
  • 3.VeChainを支える仕組み
    1. 3-1.VeChainを支える仕組み1
    2. 3-1.VeChainを支える仕組み2
    3. 3-3.VeChainを支える仕組み3
    4. 3-4.VeChainを支える仕組み4
    5. 3-5.VeChainを支える仕組み5
  • 4.VeChainの応用例
    1. 4-1.VeChainの応用例1〜ファッション/ラグジュアリー産業〜
    2. 4-2.VeChainの応用例2〜食品の安全性〜
    3. 4-3.VeChainの応用例3〜自動車産業〜
    4. 4-4.VeChainの応用例4〜サプライチェーン産業〜
    5. 4-5.VeChainの応用例5〜農業〜
    6. 4-6.VeChainの応用例6〜政府〜

1.VeChain概要

VeChainの目的は、VeChainネットワーク内において、さまざな事業体が信頼し合い、協調することで、効率的かつ低コストなソリューションを生み出すことをサポートすることです。これにより事業体は、高度な技術の開発や、優れた製品/サービスをはじめとする高付加価値の生成にリソースを集中させることができます。

VeChainの事業は、およそ2年にわたって運用されており、一定の成果をあげています。特に、中国における乳製品の食品安全性を証明する取り組みや、ラグジュアリー産業の偽造品を防止する取り組みでは、ブロックチェーン技術のみならず、IoT技術も併用するなど、技術的な先進性があります。今後もVeChainはAI/IoT技術との連携も進めると表明しています。

VeChainの分散型ビジネスエコシステムには、企業やエンドユーザーだけではなく、さまざまなステークホルダーが存在しています。例えば、VeChainのネットワークノードプロバイダでは、VeChainのブロックチェーンネットワークに直接参加して、全体のセキュリティを保護するために一定数のノードを維持します。さらに、VeChain財団はVeChainのシステムをサポートする役割があります。


2.VeChainトークン(VET)とThor Power(THOR)

分散型ビジネスエコシステムがボディである時、ブロックチェンインフラストラクチャは骨組みで、さまざまなアプリケーションサービスは筋肉と器官に例えることができます。それでは、VeChainトークン(VET)を例えるなら? それは「血液」がふさわしいでしょう。VETは価値伝達を担い、エコシステム内を駆け回ります。また、エコシステム外では、メディアの役割も持ち、エコロジーの範囲を拡大させます。

2018年1月中旬にVeChainは、VETを保有する人たちに、Thor Power (THOR) という新たなトークンを配布する予定でしたが、延長されるようです(現在:2018年1月下旬)。THORは、ブロックチェーン上でスマートコントラクトを実行する場合や、アプリケーションを稼働するために使われる予定です。この関係は、NEOとGASに置き換えて考えるとわかりやすいでしょう。

VeChain Thorでは、エコシステムを維持するためにノードを必要としているため、ノードは報酬をもらう権利があります。次にあげる4種類のノードは、満期日とVET保有額において違いがあります。

  • ① Strength Nodes → メインネットのローンチから10日後(10,000VET以上)
  • ② Thunder Nodes → メインネットのローンチから20日後(50,000VET以上)
  • ③ Mjolnir Masternodes → メインネットのローンチから30日後(150,000VET以上)
  • ④ Thrudheim Masternodes → 現在からメインネットのローンチまで(250,000VET以上)

3.VeChainを支える仕組み

3-1.VeChainを支える仕組み1

VeChainは、ビジネスにおけるリソース(ヒト、モノ、カネ)を共通の方法でデジタル化します。また、スマートコントラクトを使用して、異なるオブジェクトデータとの接続関係タイプを構築します。さらに、認証のモデリングとカスタマイズを行なって、さまざまなビジネス活動に反映させます。これらの方法論は、異なるビジネスモデルが相互に関係し合う分散型エコシステムの構築に一役買います。

VeChainのアイディアは2015年の半ばに構想されました。それからの技術開発は、ブロックチェーン技術の発展と日進月歩です。例えば、ビットコインネットワーク(UTXO)を使いモジュールを立てたり、サイドチェーン技術やイーサリアムのスマートコントラクト技術に腐心した歴史があります。VeChainは技術マネジメントにおいて、要件がプロダクトデザインを導き、プロダクトデザインがプログラム開発を導き、プログラム開発が要件を導く、という考え方をもっています。それは、VeChainの経験則から生み出されたものです。

VeChainの技術的構造は、アプリケーションニーズに基づいており、単一の技術構造レイヤごとに、標準化された抽象化をおこないます。これによって、すべての単一レイヤが独立した普遍性を持ち、各レイヤーのすべてのモデルを効率的に結合させることができます。標準のユニットモデルは、数万種類のアプリケーションの組み合わせを持っています。技術的構図は、主に「ブロックチェーン抽象層」と「ビジネス抽象層」の2つの部位に分類することができます。詳細については、ここでは省略します。

VeChainのIDは、Sha265関数によってランダムに生成されます。このIDは、各製品が使用される前にNFC、QRLコード、RFIDタグに書き込まれて、ハッシュされます。ハッシュされたVeChainIDはタグに書き込まれますクライアントのニーズに合わせてタグを準備することができたら、テストプロセスへと進みます。そして、「Activated(有効化されている)」状態となります。Activation(有効化)は、「V Operation」というカスタムメイドのソフトウェアを用いて行なわれます。これにより、VeChainIDはブロックチェーン上に書き込まれて、すべてのノード間で複製されます。ちなみに、ブロックチェーン上において、オブジェクトの所有権を証明するには、公開鍵と秘密鍵を組み合わせたペアをアカウントと関連づけることによって行えます。

3-2.VeChainを支える仕組み2

VeChainビジネスエコシステムにおいて、クライアントはどのようにしてサービスを利用すればいいのでしょうか? それは、API ゲートウェイと通信することによって、解決されます。API ゲートウェイはRESTプロトコルを利用して、それぞれのサービスと通信します。これによって、クライアントは特定のサービスを呼び出す必要はなくなります。

APIゲートウェイは、それぞれのマイクロサービスのロケーション(IPアドレスとポート番号)を知る必要があります。ロケーションが分からなければ、通信チャネルをむすぶことができないからです。ただ、サービスのロケーションを決めるための仕組みは、少し複雑です。なぜなら、ロケーションが動的に割り当てられるだけにとどまらず、自動スケーリングやアップグレードによって、1つのサービスのインスタンスも動的に変化するからです。

そこで登場するのが「Service Discovery(SDP)」です。SDPにはクライアント検出モードとサーバー検出モードの2つのモードがありますが、ここで説明するのはサーバー検出モードです。クライアントは、API ゲートウェイを通じて、リクエストをサービスに送ります。そしてAPI ゲートウェイは、サービスレジストリを照会して、そのリクエストを利用可能なサービスインスタンスに転送します。サーバー検出モードの最大の利点は、クライアントがディスカバリにおける詳細を把握する必要がないということです。これによって、プログラム言語のフレームワークが記述するディスカバリロジックもスリム化することが可能になります。

3-3.VeChainを支える仕組み3

マイクロサービスは、すべてのバックエンドVeChainサービスの総称です。VeChainのAPI ゲートウェイエコシステムにおいては、マイクロサービスは次にあげる2つの基本機能を実装していなければなりません。

① 登録と登録解除

マイクロサービスは、起動時に自らをサービスディスカバリサービス(SDS)に登録しなければならず、シャットダウン時においては、自らを登録解除する必要があります。

② サービスの状態を報告する

SDSは、バックエンドのインスタンスがまだ利用かつ提供可能かどうか知ることができません。そのため、マイクロサービスは30秒未満の間隔でサービスの状態を報告しなければなりません。


マイクロサービスは、従来のサービスと比べて複雑性が高いです。特に、異なるバックエンドサービス間のコミュニケーションなどです。現時点では、SDSは自らを登録するインスタンスが必要であり、そのためのロジックも必要でした。そこで、VeChainはサードパーティの登録サービスを検討しています。これらのサービスは、マイクロサービスのインスタンスを展開することができ、そのための情報を設定したり、インスタンスの状態をチェックしたら、SDSに報告したりすることが可能になります。そして、マイクロサービス、APIを提供するための純正アプリだと考えることができます。

HSS(Hashed Storage Service)は、デジタルファイル、画像、テキストデータ、オブジェクト指向の信頼できるストレージなどのサービスを提供する、「分散型ストレージサービス」です。 さまざまな種類のオブジェクトが格納されているVeChainとの、組み合わせによって、データが改ざんされないようにします。 アップロードされたオブジェクトは、アップローダによって許可されていない限り、同時に不適切な手段で取得および変更することはできません。

HSSは主に、2つの部分から成り立っています。それは、オブジェクトストレージサービスとベーシックストレージサービスです。前者は、オブジェクトへのアクセスや保存を担当しています。後者は、オブジェクトのストレージフットプリントを計算することで、オブジェクトと実際のストレージをカットする役割があります。

分散型ストレージが、単一のオブジェクトストレージディプロイメントで、可用性の高いストレージシステムをセットアップすることに役立つ理由について説明します。それは、分散型サービスでは、データバックアッププログラムを簡素化し、ディスク容量を削減するだけではなく、サービスを利用可能にして、データの可用性と耐久性を向上させることができるからです。

3-4.VeChainを支える仕組み4

1999年に、IoT(Internet of Things)という概念がイギリスのKevin Ashtonによって提示されました。彼はIoTを「人間を必要とせず、インターネットを介してスマートデバイスあるいはクラウドとコミュニケーション可能な検知メカニズムを備えるすべての”Smart” デバイスを含むネットワーク」と定義しました。この定義に基づき、IOTを「知覚」と「接続」という2つの側面から見てみましょう。知覚は、温度や個人IDなど実世界のデータをデジタル化するアイディアです。接続は、Bluetooth、Wi-Fiおよびモバイルインターネットを通してデジタル情報を共有します。将来的には、IoTがより多くの人々に普及される見通しです。IoTの問題点として、標準の通信プロトコルの断片化、高コストの開発とメンテナンス、プライバシーの欠如がありますが、これらの問題は完全にBlockchainによって解決できます。

ブロックチェーン技術によって、異なるIoT機器をまたいで使用履歴を追跡したり、取引を完了させることができます。また、IoT機器の自己管理とメンテナンスを行うことを可能にします。それらによって、クラウドシステムとIoT機器の保守費用を大幅に削減することができます。さらに、IoT機器によって作成された秘密鍵によって、個人情報が他人に盗まれることがないようにします。要約すると、IoT機器にブロックチェーン技術を実装すれば、安全性レベルと経済効率性を向上させることができます。

VeChain テクノロジーチーム内には、IoTテクノロジーチームが存在します。彼らは、ブロックチェーンアプリケーションとIoT技術を連携させる役割があります。それには、次にあげる3つの役割を含みます。

  • ①暗号化されたチップタグ技術の開発
  • ②IoTセンサーとデータセキュリティの識別
  • ③NB-IoT のセキュリティ及び認証モジュール

3-5.VeChainを支える仕組み5

VeChainチームは、専門的なソフトウェアテストの手順を行います。目的は、ソフトウェアが予測可能で、予期しない結果が生じないように、製品の基準を満たしているか確認することです。レストは3種類のテストと、PDCAフレームワークに基づき、行われます。まず、テストは3種類行う必要があります。それぞれの概要は次の通りです。

  • ①ホワイトボックステスト:ソフトウェアの内部構造や特性を考慮する
  • ②ブラックボックステスト:ソフトウェアの内部構造や特性を考慮しない
  • ③グレーボックステスト:出力と入力だけではなく、内部状態にも考慮する

次に、PDCAフレームワークに基づくソフトウェアテストについて、説明します。まず、Plan(計画)は、テスト計画の策定と検証が行われます。2つ目に、Do (実行)は、Plan(計画)通りに操作が行なわれます。3つ目に、Check(チェック)では、テスト結果を鑑みて、フィードバックをチームに反映させます。最後に、Adjustment(調整)では、フィードバックを踏まえて、テスト計画を修正して、実行に移します。

VeChainの技術開発はすでに2年の実績があり、開発の中心となるのは、アプリケーション、標準化、セキュリティという3つの分野です。この考え方に基づいて、チームは開発を継続していきます。VeChain技術チームには次にあげる3つのユニットがあります。

  • ①R&D(研究開発)
  • ②Development(開発)
  • ③テスト、移行、メンテナンス

4.VeChainの応用例

4-1.VeChainの応用例1〜ファッション/ラグジュアリー産業〜

2015年の調査では、約28億8千万ドルがファッションとラグジュアリーブランドの偽造品防止費用にあてられています。VeChainは、顧客とブランドの橋渡しの役割を担い、ブロックチェーン技術に基づいたIoT暗号化チップを製品化することで、ブランドとビジネスを展開しています。チップはすべてのロジスティクスを記録します。顧客は製品を手にした後、Appでタグの後ろのチップをスキャンすることで、その製品の「履歴」を知ることができます。これによって、偽造品があればすぐに見つけることが可能になります。

4-2.VeChainの応用例2〜食品の安全性〜

食品は人々の健康を直接左右します。それゆえに、健康に関する予算は年々増加しており、生産者と消費者は食品の安全性をとても気にかけています。しかし、従来の食品の安全性は、プロセス管理者と生産者の裁量に大きく依存しています。したがって、食品の安全性を保証することが難しく、問題が起こった時にプロセスを遡って原因究明することはほぼ不可能です。そこで、VeChainはブロックチェーンソリューションで現状を解決することに努めます。例えば、乳製品の食品安全性を例にあげます。VeChainは、肥料管理、飼料供給者の監査、家畜の健康状態、牛および環境報告書の薬物使用など、農場情報を提供します。さらに、パッケージストレージや生産センターの流通情報もサポートします。これらの技術を用いれば、顧客の信頼性も増すと考えられます。

4-3.VeChainの応用例3〜自動車産業〜

自動車産業には多くのステークホルダーがいます。例えば、メーカー、代理店、レギュレーター、金融サービスプロバイダ(保険・銀行)、個人アカウント、などです。自動車のライフサイクルにおいて「ユーザーデータ」の多くが、異なるステークホルダーに分散されてしまいます。これによって、自動車が生産されるまでの各情報を知ることは難しいとされていました。そこでVeChainは、固有のIDをそれぞれの自動車に割り当て、情報をすべてブロックチェーン上に記録することで、各ステークホルダーが、自動車に関する情報を参照できるようにしました。

4-4.VeChainの応用例4〜サプライチェーン産業〜

従来のサプライチェーン産業には、原材料供給者、製造業者、代理店、物流、税関検査代理店、保管業者、小売業者、最終的には顧客が含まれます。この業界が抱える問題は、サプライチェーンを追跡することが難しいだけではなく、異なるサプライチェーン間で情報共有がなされず、セキュリティに脆弱性が存在することです。そこでVeChainは、共通のサービスプラットフォームに各ステークホルダーを接続しました。これにより、問題を解決することができます。

4-5.VeChainの応用例5〜農業〜

中国の農業産業は、さまざまな問題に直面しています。例えば、製品の品質が不均一であること、生産性が低いことや環境汚染、などです。ただ、このような問題を解決するために、既存の特定の技術や法律の規則では不十分でした。このような背景から、WeChainはPwC、China Unicom, Liaoning 産業アカデミーと協力して、グリーン有機農業を検証するために特別なブロックチェーンクラウドプロジェクトを開発しています。

このプロジェクトにおいて、VeChainはブロックチェーン技術を利用して、すべての温室の機能データを記録するデータモデルを構築することで、各農場の温室を登録しました。データソースは2種類あり、1つ目は農場主により直接記録された生産操作データで、2つ目は温室内のIoTセンサーから得られるデータです。これらの取り組みは農業の効率を向上させることにつながります。

4-6.VeChainの応用例6〜政府〜

政府機関は、ブロックチェーン技術に関心を示しています。中国産業省と情報技術省は、ブロックチェーン技術の応用と開発に関するホワイトペーパーを発表しました。英国政府のサイエンスオフィスでは、分散型元帳技術が公的および私的サービスに大きな変革をもたらすだけではなく、データ共有、透明性、信頼性といった側面において、政府と市民の関係を再定義して、政府のデジタル変革の改革に大きく貢献する可能性を秘めていると、報告書の中で言及しています。